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ChatGPTとは?わかりやすく解説
ChatGPTとは、米OpenAI社が開発したAIチャットツールです。ユーザーが入力した問いに対し、インターネット上のビッグデータをもとに一般的な回答を出力します。
ChatGPTは2022年11月のリリースから約2ヶ月で月間アクティブユーザー数1億人を突破。さらに、回答までの時間を短縮し最新機能を利用できる有料プラン「ChatGPT Plus」を追加したり、新たな言語モデルの「GPT-4」を採用したりするなど、日々、進化を遂げています。
ChatGPTの誕生にはテスラ社のイーロン・マスク氏も関わっており、マイクロソフトが1.3兆円もの投資を行いました。マイクロソフトは、これまでの検索エンジンにAIチャットツール機能を追加して「Bing」をリニューアルしています。
<ChatGPTの回答例>
- Q. 部下を成長させるために、上司はどう接したらいいですか?
-
A. 部下を成長させるためには、以下のような接し方が効果的です。
1. 自己評価の機会を与える
部下に自己評価の機会を与えることで、自己成長意識を高めることができます。また、部下の自己評価を聞き、それに基づいたフィードバックを行うことで、部下の自己理解を深め、成長を促すことができます。2. 優れたロールモデルになる
上司自身が優れたロールモデルであることが、部下の成長にとって重要です。自身が示す姿勢や行動が、部下にとっての学びとなり、成長につながることがあります。(続く)
このように人間関係の悩みから料理のレシピまでインターネット上に情報さえあれば、テキストで回答してくれます。一方で「リアルタイムの情報」「現地まで行かないとわからない情報」はインターネット上に存在しないため、回答できません。またテキストではなく、動画やイラストを用いた回答もできません。
初心者向けChatGPTの始め方
具体的な手順について、画像付きで解説します。
ChatGPTにアクセスする
まず、ChatGPT(https://openai.com/blog/chatgpt)にアクセスしてください。初めて利用する場合は、トップ画面左下の「Try ChatGPT」をクリックします。
OpenAIのアカウントを登録する
すると「Welcome to ChatGPT」と記された画面に移るため、「Sing up」をクリックしてメールアドレスや氏名、電話番号、パワスワードなどの情報を入力します。
アカウントを登録できたら「Log in」をクリックし、メールアドレスとパスワードを入力してログインしましょう。
ChatGPTの使い方
具体的な手順について、画像付きで解説します。
検索窓で質問する
ChatGPTにログインできたら、検索窓で自由に質問しましょう。「カレーのレシピを教えて」という文章でも、「カレー レシピ」というキーワードでも構いません。
なお、詐欺やテロといった公序良俗に反するような質問、自殺を助長するような質問には答えてくれません。一定の倫理観に基づいて質問内容を判断していますが、ChatGPTの倫理観は「現在も学習中であり完璧ではない」と本人が語っています。
政治的な質問に対し、偏った思想で回答することも確認されています。これはChatGPTが出力時に参考としたデータがもともと政治的に偏っている場合に起こるようです。完全に中立な立場から回答するとは限らない点に注意しましょう。
追加で質問する
ChatGPTで一度した質問に対し、追加の質問をして内容を深掘りすることもできます。「カレーのレシピを教えて」という質問に続けて「たまねぎを買い忘れたけど、どうしたらいい?」と聞くと以下のように答えました。
<ChatGPTの回答例>
-
A. 玉ねぎがない場合でも、カレーを作ることはできます。以下にいくつかの代替方法を紹介します。
代わりの野菜を使う:人参、ジャガイモ、ナス、パプリカ、ズッキーニなどの野菜をカットして使うことができます。これらの野菜を炒めてから、カレールーと一緒に煮込んでください。
玉ねぎパウダーを使う:スーパーマーケットで購入できる玉ねぎパウダーを使用することができます。カレーに味と風味を加えることができます。(続く)
ChatGPTでできること
ChatGPTはテキストベースの回答以外にもさまざまな機能を有しています。一般的に使用できる機能を以下にまとめました。
機能 | 内容 |
翻訳 | テキストを別の言語へ翻訳する |
要約 | テキストを要約する |
プログラミングのバグ指摘 | プログラミングコードのバグを発見する |
メール文書の作成 | 簡単な連絡や謝罪文であれば作成できる |
イベント立案 | イベントの目的や概要を伝えることで、企画案を出してくれる |
歌詞の作成 | 曲のタイトルから歌詞を書いてくれる |
英文の添削 | 英文の間違いを指摘し、改善方法を教えてくれる |
このようにアイデア出しからテキストの生成まで、幅広く対応できます。今後の開発次第では、より高度なサービスをChatGPTが自動で提供してくれるでしょう。
企業担当者がChatGPTを使用する際の注意点
ChatGPTをビジネスシーンで使用する場合には、いくつかの注意点を理解しておかなければなりません。
事実確認をする
ビジネス文書をChatGPTで生成する際は、必ずエビデンスチェックをしてください。回答の正確性は、参考とするデータによって大きく異なり、まったくのデタラメを述べることもあります。また、実際にあるエビデンスを参考にしていたとしても、そのデータが古く使いものにならないケースもあるでしょう。ビジネスシーンで用いる場合はChatGPTの回答を鵜呑みにせず、事実確認を徹底することが重要です。
一方でイベント立案といったアイデア出しに利用する場合は、そこまで事実確認は重要ではなくなるため、うまく活用するといいかもしれません。
機密データをインプットさせない
ChatGPTは、ユーザーが入力したテキストやファイルを学習材料として使用します。AIが自動で成長する機能としては優れていますが、社内の機密データを盗まれるリスクも含んでいます。
例えばミーティングの議事録や会議資料、ソフウェアソースコード、知的財産をインプットさせると、機密データが流出する恐れもあるため、入力するデータには注意を払いましょう。Amazonはすでに従業員に対し機密データを入力しないよう通達しており、Samsungは実際に機密データを流出させて大問題となっています。
製造業におけるChatGPT活用の可能性
では、製造業においてChatGPTを活用した場合には、どのようなアプローチができるのでしょうか。現時点では技術的に実現できないものも含め、ChatGPTの可能性について解説します。
なお、ChatGPT自身は以下のように回答しています。
「以下に、具体的にChatGPTが製造業でどのように活用できるか、いくつかの例を提供します
- 知識ベースとして:ChatGPTは大量の情報を処理し、質問に対する答えを提供することができます。これは製造業における標準作業手順(SOP)や製品仕様に関する質問に答えるのに特に有用です。
- 技術文書作成支援:ChatGPTは、技術的なドキュメンテーションやレポートを作成するのを助けることができます。それは、人間が書いた文章を元に新しいテキストを生成する能力があるためです。
- 内部コミュニケーション:ChatGPTは、社内コミュニケーションツールとして使用することも可能です。例えば、従業員が特定の製品についての情報を求める場合、ChatGPTは迅速に情報を提供できます。
ただし、ChatGPTはテキストベースの情報を処理する能力に重点を置いており、より複雑なAIのタスク(例えば、画像認識や予測分析)は扱うことができません。そのため、そのようなタスクは、より特化したAIソリューションを使用する必要があります。」
バックオフィス業務の効率化
先ほども紹介した通り、メール本文を生成したり、作業日報を作成したりといったテキストベースの出力が可能です。
またセキュリティには配慮する必要があるものの、議事録の出力だけでなくその要点をまとめることも技術的には可能となっています。このようなバックオフィス業務の効率化にChatGPTを活用できるでしょう。
スピーチ原稿の代行
ChatGPTにスピーチ原稿を作成させることもできます。例えば「部下の結婚式挨拶」であれば、ある程度決まった流れがあるため、そのテンプレに合わせてスピーチ原稿を考えてもらえるでしょう。そのまま使用するのではなく、部下が頼りになったエピソードなどを追加すればオリジナリティのある原稿に仕上げられます。
カスタマーサポート
ChatGPTはチャットボットとして、顧客からの問合せなどに対応できます。すでにチャットボットを提供していたメディアリンク社は、ChatGPTを用いた「Media Talk GPT」を2023年4月にリリース。顧客からの質問にテキストで自動回答し、あたかも人間が対応しているかのようなユーザー体験を提供します。
組織のマネジメント・意思決定
企業のマネージャーが悩む組織のマネジメント・意思決定にもChatGPTは活用することが可能です。ジャンプスタートパートナーズが提供する組織改善クラウド「PULSE AI(パルスアイ)」は、新たに「AIメンター」という機能を追加しました。
同製品の利用で得られた従業員エンゲージメントに関するスコアをもとに、ChatGPTの技術を用いてAIメンターがエンゲージメント低下の要因を洗い出したり、解決策を提案したりしてくれます。
人材育成・研修
すでに教育領域ではChatGPTを用いた「AI家庭教師」などの教育サービスが展開されています。AI家庭教師は、ChatGPTを活用し「生徒の理解度に応じて、問題の難易度を調整する」機能を有しており、柔軟に問題を出してくれるでしょう。
こうした機能を人材育成や研修に応用することも、いずれ実現するかもしれません。基本的なビジネスマナーだけでなく、自社独自のノウハウをChatGPTに学習させれば、上司の代わりにアドバイスすることも可能です。各業界が人手不足に悩む中で、有効な一手となるでしょう。
リーガルチェック
先ほど紹介した通り、ChatGPTの出力は情報源に不安な点が多く、エビンデンスチェックが必須です。しかし、今後の技術発展によっては、文書のエビデンスチェックを超えてリーガルチェックすら実現するかもしれません。
ビジネス文書や広告文書について、法的問題点を自動であぶり出してくれれば、専門家に頼ることなくリーガルチェックに割いていたコストを削減することも可能です。
経営リスクの把握
ChatGPTがより進化すれば、「経営リスクを自動通知する」機能を実現できるかもしれません。例えば、災害の発生から原材料確保のリスクをスピーディに把握・通知し、納期を延期する恐れある取引先へ当日中にアラートを出す、といったことが可能になれば、ビジネスへの影響を抑えることもできるでしょう。
まとめ
ChatGPTはテキスト生成やアイデア出し、プログラミンのバグ発見といった基本機能から、ビジネスシーンにも活用できるカスタマーサポートやマネジメント、人材育成といった応用機能までさまざまな可能性を秘めています。しかし、手放しでChatGPTを活用することにはリスクが伴い、現状ではエビデンスや情報漏えいに注意すべきでしょう。ChatGPTを個人利用する従業員も今後は増えていくと考えられるため、社内ルールを設けておくことも重要です。