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宇宙ビジネスとは|世界や日本の市場規模と課題を紹介

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宇宙ビジネスとは、宇宙空間を利用したロケットや人工衛星の打ち上げ・開発、人工衛星を利用した各種サービスのことです。世界の宇宙ビジネスと比較すると日本は遅れていると言われていますが、政府の支援などが今後増えていき、日本国内のベンチャー企業にもチャンスが広がっていくと考えられます。

当記事では、宇宙ビジネスの概要から今後の市場予測、日本の宇宙ビジネスにおける課題について解説しています。

新たな産業分野「宇宙ビジネス」とは

宇宙ビジネスとは、無限に広がる宇宙空間を活用したビジネスのことです。ロケットや人工衛星の打ち上げや打ち上げられた人工衛星を活用したビジネス全般を指します。

宇宙ビジネスの目的は、宇宙空間を開発して地球の環境を改善させたり、地球で暮らす私たちの生活が豊かになることです。

宇宙開発といえば、元々は世界の国家が主導するプロジェクトであるイメージがありますが、現在では宇宙開発の規制が緩和され、民間企業が宇宙ビジネスに参入してきました。

規制緩和の一環として、異なる国や地域の宇宙機関や企業との協力が促進されています。世界中にある宇宙ビジネスを手掛けるベンチャー企業同士で宇宙技術や知識の共有が進み、宇宙ビジネスの成長が促されています。

民間企業が宇宙ビジネスに参入してきたことで、宇宙ビジネスの市場規模は拡大傾向にあります。例えば、イーロンマスクのスペースXやジェフベゾスのブルーオリジンの参入によって、市場の競争が促され、新たな技術やサービスが開発されるようになりました。

中でも、宇宙旅行が現実的になってきたことは、宇宙ビジネスへの意識が変わった事例といえます。宇宙が身近に感じられる社会は話題性が高く、宇宙空間にビジネスチャンスをうかがうベンチャー企業はこれからも増加していくことが考えられます。

宇宙ビジネスの種類

宇宙ビジネスにはさまざまな分野が開拓されています。宇宙ビジネスは非常に多様な領域をカバーしていますが、大きく4つの分野に分けることができます。

宇宙ビジネスの種類 概要
衛星を利用したビジネス 通信、地球観測、衛星製造
無重力や真空であることを利用したビジネス 新薬、新素材
資源開発 レアメタルの開発
観光事業 宇宙旅行

上記のビジネスに付随して、衛生の製造やロケットの製造など、様々な分類に分けることができますが、明確な定義があるわけではありません。宇宙探索や研究も宇宙ビジネスの一環といえます。

宇宙ビジネスでは、まだ開拓されていない分野も多くあり、新しいビジネスが生まれる可能性が広がっています。ベンチャー企業がビジネスチャンスを掴みやすい新分野です。民間企業が参入することで、宇宙ビジネスの開発スピードはより上昇していきます。

宇宙ビジネスの市場規模

2020年、宇宙ビジネスの市場規模は40兆円と言われていますが、20年後の2040年には160兆円になると考えられています。宇宙ビジネスは世界・国内ともに拡大傾向にあり、市場の多様化と拡大が同時に進んでいきます。

ここでは宇宙ビジネスの市場規模について、世界と日本を比較して解説します。

世界の宇宙ビジネスの市場規模

2022年に発表された製造産業局宇宙産業室の「宇宙産業プログラムに関する事業評価検討会」によると、宇宙ビジネスの市場規模は約40兆円と考えられています。2010年は約27兆円だったことから10年あまりで1.5倍に成長していることが分かります。また、2040年には4倍の160兆円になると考えられています。

特に成長している分野が衛星を利用した宇宙ビジネスです。衛星データ活用や衛星テレビサービスなどの成長が顕著で、地球上で通信機器や通信サービスの発展に合わせて衛星の需要が伸びています。

例えば、テレビゲームは世界中のユーザーとネットワークをつないで楽しむことが一般的となりました。映画やドラマのサブスクリプションサービスも拡大を続けています。

データ通信の重要性が増していく中で、衛星を活用した宇宙ビジネスは今後も成長してくと考えられます。

日本国内の宇宙ビジネスの市場規模

日本国内の宇宙ビジネスの市場規模は、2020年時点で約1.2兆円です。世界の40兆円と比較すると、かなり遅れていると考えられます。

日本のビジネス文化は、安定性やリスク回避を重視する傾向があります。宇宙ビジネスのような新たな技術や革新的なビジネスに挑戦する意欲が低い点が要因の1つです。

また、日本の宇宙ビジネスは、大手企業が主導してきた傾向があります。技術革新によるベンチャー企業の新規参入ハードルが高くなっている点も課題です。

内閣府が発表している「宇宙産業ビジョン2030」によると、日本は衛星データへのアクセス改善や利活用促進に力を入れようとしていることが分かります。また国際競争力を強化させるために、新規参入の支援にも取り組んでいく予定です。

宇宙利用産業も含めた宇宙産業全体の市場規模を、2030年までに約2.4兆円になるよう目指しています。

世界と日本国内の現行の宇宙ビジネス事例

世界と日本国内の現行の宇宙ビジネス事例について解説します。

世界の宇宙ビジネス事例

世界の宇宙ビジネスの事例を以下の表にまとめます。

企業名 国名 概要
SpaceX アメリカ ロケットの開発・打上げや有人宇宙船の開発を進めています。衛星を利用した高速で低遅延のインターネットサービス「Starlink」はアメリカだけでなく日本のKDDIも活用している通信網。
Blue Origin アメリカ ロケットの開発・製造・打上げや宇宙船の開発を進めており有人宇宙船を打ち上げるビジネスモデルを手がけている。
OneWeb イギリス 政府機関や企業、エンドユーザー向けに衛星通信サービスを提供しており、日本のソフトバンクグループも出資している。
Axiom Space アメリカ 民間主導のISSへの打ち上げを成功しており、宇宙ステーションの開発・運用や民間向け宇宙旅行サービスの提供などを手がけている。

日本の宇宙ビジネス事例

日本の宇宙ビジネスの事例を以下の表にまとめます。

企業名 取り組み内容
三菱重工業
三菱電機
ロケットの開発・大型衛星:JAXAや民間企業の依頼を受けて、通信衛星や地球観測衛星などの衛星の設計・製造・運用をしている。
HIエアロスペース 人工衛星の部品供給:宇宙ロケット用のエンジンの設計・開発をしており、特に固体ロケットエンジンにおいて高い技術力を持っている。
スペースワン 小型ロケットの製造:専用射場のスペースポート紀伊から打ち上げる小型ロケットを製造している。
三井住友海上 宇宙関連事業のリスクへの保険を提供している。打ち上げ保険や衛星保険、宇宙機材保険を展開。

日本国内の宇宙ビジネスの課題

日本国内で宇宙ビジネスを成長させるためには、さまざまな課題があります。日本国内における宇宙ビジネスの課題について解説します。

政府からの需要が大半を占めている

現時点では、日本の宇宙ビジネスの需要の大半が政府であり、JAXAとその他政府機関で売上の半分以上を占めています。そのため、民間企業が自律的に新たなビジネスモデルや市場の開拓に積極的でなかった点が課題です。

民間企業の参入が少ないと、新しい技術革新が起きにくく、チャレンジするベンチャー企業が増加しません。今後、日本国内における宇宙ビジネスの発展のためには、民間企業が参入しやすい制度の確立が求められます。

研究開発投資が十分でない

宇宙ビジネスにおける研究開発投資が十分でない点は、日本国内の宇宙ビジネスにおける課題です。宇宙に関する研究開発には高額なコストがかかり、開発から商業化までに長期間を要することになります。高いリスクと不確実性から投資には悲観的な意見が多くありました。

2023年6月27日に開催された第76回宇宙開発利用部会で、文部科学省がロケット開発やスペースデブリ対策に取り組むスタートアップの支援を実施することが発表されました。同年7月には公募を開始しました。

開発→実証→実装のスピードが遅い

日本の宇宙産業は技術の蓄積が強みですが、開発・実装のスピードが遅いことが弱点です。宇宙ビジネスで活用できる新しい技術の導入には時間がかかり、許認可プロセスや官庁の審査に多くの時間と手続きが必要です。また、宇宙ビジネスに関わるエンジニアが不足している点も開発から実装までのスピードが遅い要因となっています。

世界の宇宙ビジネス競争についていくためには、これらのサイクルスピードを高速化する取り組みが必要になります。

まとめ

世界の宇宙ビジネスはめまぐるしいスピードで拡大していきます。ロケットの製造や開発だけでなく、衛星を活用したサービスは今後も増えて行くでしょう。日本は世界に後れを取っていましたが、政府も宇宙ビジネスに支援を開始しており、ベンチャー企業の参入が増えていくことが予想されます。

宇宙ビジネスは大きな可能性を秘めており、製造業としても参入する価値が高いことが分かります。世界中の各企業が情報を共有し、宇宙ビジネスがさらなる発展の道を辿っていくことで私たちの生活が便利になる可能性があります。

PEAKSMEDIA編集チーム

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