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系統用蓄電池とは|系統用蓄電池事業に参入するメリットや参入事例を紹介

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再生可能なエネルギーが、近年ますます注目を集めています。中でも、系統用蓄電池の導入について、国内外を問わずその重要性が着目されています。

系統用蓄電池の導入は電力需給のバランス調整を行い、電力系統の安定化につながる利点があります。再生可能エネルギーの導入促進に役立つとして、今後導入の拡大が期待されています。

しかし、系統用蓄電池とは何か詳しくはわからない方もまだまだ多いのではないでしょうか。

この記事では、そもそも系統用蓄電池とは何か、また系統用蓄電池事業に参入するメリットや参入事例について詳しく解説します。

系統用蓄電池とは

系統用蓄電池とは、電力系統に直接接続される蓄電池のことです。系統用蓄電池は、電力需要と電力供給のバランスをとり、電力系統の安定化に役立つとして注目されています。

系統用蓄電池が注目される理由

系統用蓄電池が注目される理由として、政府が目標にかかげているカーボンニュートラル達成やGXへの移行が後押しとなっていることが挙げられます。

太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの導入量は年々増加傾向にあります。しかし、再生可能エネルギーは気候や時間帯による発電の変動要素が大きく、電力系統への負荷が大きいという課題があります。

電力需給の「ひっ迫」により「節電」の呼びかけを聞く一方で、天候がよければ需要以上に発電されることで、発電量が需要を大きく上回り出力制御が実施されるなど「電力余り」となっている状況があります。

再生可能エネルギー発電所はあくまで発電所のため、単体では蓄電の機能を有していません。蓄電池は単体で発電する機能を有していませんが、溢れた電力の受け皿となります。天候がよいときに蓄電したものを悪天候などで電力が足りなった時に放電し電力需給のバランス調整を行い、電力系統の安定化に貢献します。

電力系統の同時同量とは

電力系統の「同時同量」とは、電力需要と電力供給のバランスを常に保つことを指します。電力は大量に貯蔵することが困難という特徴があります。

電力系統では需要と供給のバランスが崩れると、電気の品質(周波数)が乱れ、大規模停電が発生するリスクを秘めています。

電力系統の同時同量を保つためには、需要に合わせて供給量を調整しなければなりません。
電力系統や再生可能エネルギー発電所へ蓄電池を接続すれば、余った電気を貯めることができます。それにより、電気が不足した際に貯めた電気を供給できる、電力系統の「同時同量」の運用を担う調整力として、蓄電池事業に脚光が集まりつつあります。

系統用蓄電池と定置用蓄電池

「定置用蓄電池」には明確な違いがなく、「用途」や「接続場所」によって名称が異なります。

「系統用蓄電池」は、電力系統に接続され、電力需給のバランス調整や再生可能エネルギーの導入促進などに利用される蓄電池を指します。蓄電池を介して電力の売買・系統の安定化を行うのが系統用蓄電池です。

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系統用蓄電池事業の市場規模

系統用蓄電池の市場規模は、今後10兆円を超える見込みと言われています。矢野経済研究所の調査では、定置用蓄電池の2021年における世界市場規模が約6,888MWで、金額的には4兆2,000億円を突破したとされています。

将来的な市場規模はさらに拡大するとされ、2031年には容量が457,880MW、金額では26兆円を超える見込みとされています。

また、富士経済による調査でも注目される市場として、系統用蓄電システムを挙げています。今後、本格的に系統用蓄電池の導入が進み大規模案件も増加している発表されました。

発電側や系統側に蓄電池を設置することで、安定供給の課題がある再生エネルギーの導入を促進できるのです。出力平滑化の用途や、電力タイムシフトにおける需要の増加が期待されています。

系統用蓄電池事業に参入するメリット

系統用蓄電池事業は、電力系統や再生可能エネルギー発電所などに接続し、不要時の電力を備蓄して不足時に供給する事業です。

ここからは、系統用蓄電池事業に参入するメリットを紹介します。

利益が見込める

利益が見込める点も、系統用蓄電池を導入するメリットの1つです。

系統用蓄電池は、容量市場(kW価値)や需給調整市場(kW価値)、卸市場(kWh価値)などの収入を組み合わせることで、投資回収していくビジネスモデルが想定されています。海外では、一定の固定収入を送配電事業者が保証するようなスキームもあるなど、世界的にも導入が進められています。

アメリカのカリフォリニア州では2023年6月、累計出力5GWにのぼる系統用蓄電池が、電力系統に統合されています。これにより、オンラインによって充放電制御が可能になりました。2020年夏の導入量に比べ、わずか3 年間で10倍に拡大しています。

また国内でも、系統混雑緩和対策として系統用蓄電池の活用など、新たな収入につながるスキームが今後期待されています。

今後の市場規模拡大に期待できる

太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、天候や時間帯によって発電量が変動しやすい特徴があります。そのため、再生可能エネルギーの導入拡大により、電力系統の需給バランスが複雑化していく中で、3次調整力の活用が重要になってきています。

3次調整力とは、ゲートクローズ以降に発生する再生可能エネルギーの出力予測の誤差や、需要予測の誤差、予測できない電源トラブルで停止し、電源脱落によって生じた需要と供給の差に対応する調整力のことです。

市場価格の安定化も、3次調整力の拡大を促しています。電力市場では、需要と供給のバランスによって価格が決定されます。しかし、再生可能エネルギーの導入拡大により、需給バランスが不安定化すると、市場価格が乱高下する可能性があります。

そのため、3次調整力を活用して、需給バランスを安定させることで、市場価格の安定化に貢献することができます。

3次調整力の拡大により、系統用蓄電池の需要が高まることが予測されます。

系統用蓄電池事業に参入するデメリット

系統用蓄電事業へ参入すれば多くのメリットを得ることができますが、一方でデメリットも発生します。

ここでは、系統用蓄電池事業に参入するデメリットを解説します。

導入コストがかかる

系統用蓄電池の導入には、多額の導入コストがかかる点がデメリットといえます。

導入後にある程度の効果を得るためにも、大容量で高性能な系統用蓄電池の導入が必要です。しかし、そのようなシステムの導入には多額の資金が必要です。

しかし近年、国や東京都が積極的に系統用電池システムの普及を支援しているため、系統用蓄電池の導入は補助金制度の対象になっています。

このような観点からも、系統用蓄電池導入時には国の助成金を利用することで、このデメリットを解消できるといえます。

参入障壁が高い

系統用蓄電池事業は、参入障壁が高い点もデメリットといえます。

導入コストが高額になることに加え、投資の見通しや運用が難しい点などの理由から、参入する障壁が高いと感じるケースもあります。

また、日本の電力系統への接続については、世界でも類を見ない特異な要件が存在するため、グローバル対応機器が適合しないケースもあるなどカスタマイズが必須だとされています。

さらに、実運用に至るまで多方面に渡る煩雑な手続きが必要で積極的な事業参入が難しいのが現状です。

ただ、政府が積極的に推進している点や、世界的に見ても導入促進の流れである点を考慮すると、同事業に関して今後の動向に注力すべきだといえます。

系統用蓄電池事業に参入する企業例

現在は系統用蓄電池事業に積極的に参入している企業も多く、中には大きな成果を上げている企業も見受けられます。

ここからは、系統用蓄電池事業に参入する企業例を紹介します。

ENEOSの参入例

2023年8月に、大手石油事業会社であるENEOSが系統用蓄電池事業への参入を開始しました。

2025年までに、国内の主要な物流拠点や製油所3カ所に系統用蓄電池を設置し、外部で仕入れた電気を備蓄して自社で使用する以外にも売却を予定しています。

電気の需要が低く、価格が低い時に蓄電し、電気の需要が高まって価格が高騰した際に売却して収益を確保することが狙いです。

さらにENEOSは、系統用蓄電池のみならず現在使用されていない他社の電気自動車なども、今回のシステムに組み込み、電力の需給調整に役立てることを想定しています。

出光興産株式会社等の参入例

出光興産株式会社は、2025年10月までに株式会社レノバ・長瀬産業株式会社・SMFLみらいパートナーズ株式会社の3社と合同出資を行い、系統用蓄電池事業を手掛ける姫路蓄電所の建設を予定しています。

この事業所の設立を皮切りに、積極的に系統用蓄電池事業に参入する予定です。

出光興産株式会社は、この事業により兵庫製油所跡地内に大規模な系統用蓄電池システムを設置し、送電線ネットワークへの直接的な接続を実現します。

出光興産は、従来までに培った再生可能エネルギー事業のノウハウや、有能な人材を系統用蓄電池事業に活用し、電気事業分野での収益化を進めています。

まとめ

今回は系統用蓄電池の詳しい解説を行い、系統用蓄電池事業に参入するメリットやデメリット、参入事例を紹介しました。

近年は環境問題への対策の一環として、国が企業や個人に対して積極的に系統用蓄電池の導入を推奨しており、補助金など手厚い制度も設けています。

この記事が、系統用蓄電池事業参入への一助となれば幸いです。

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PEAKSMEDIA編集チーム

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