Contents 目次
プロフィール
東芝未来科学館
1927年設立のマツダ照明学校を起源とする企業ミュージアム。第二次世界大戦で消失した同校は「電化製品の利便性や使い方を説明する施設」だったといい、1961年にはその志を受け継いで「東芝科学館」として復活した。2014年に現名称となり、川崎駅前にリニューアルオープン。ヒストリーゾーン、サイエンスゾーン、フューチャーゾーンの3ゾーンからなり、過去を作り未来を紡ぐ科学技術をさまざまな形で体験できる。
※一般公開は終了しました
東芝の歩みと電気製品の歴史を振り返る「ヒストリーゾーン」
東芝の創業者である田中久重と藤岡市助にまつわる展示や、ゆかりの品々を展示するヒストリーゾーン。「からくり儀右衛門」と呼ばれた田中久重もからくり公演で実演していた「茶運び人形」は必見。茶碗を茶托にのせると進み、茶碗をとって再び置くと戻ってくる動きはぜんまい仕掛けで、ロボットの原点ともいわれている。
洗濯機や冷蔵庫など、日本初・世界初となった東芝製品を時代背景や開発秘話と共に見学できる「1号機ものがたり」も、時間を忘れて見入ってしまう。現代にあっても違和感がない、家電の洗練されたデザインも美しい。
ミライにつながる最新技術を体感する「フューチャーゾーン」
「エネルギー」「まち」「じょうほう」の3つの角度から、未来の社会や暮らしの質を高める技術や取り組みを紹介するフューチャーゾーン。
1番人気の「ナノライダー」は、ナノレベルの半導体の中に入り込んだという設定で100万分の1ミリの世界を駆け抜けるライド型コンテンツ。「スマホの中ってこんな感じ!?」と、大人も思わず夢中になること間違いなし。
体験型展示では、『消えるプリント Loops』もおすすめ。色を塗った塗り絵をタッチ画面モニターに表示させた後、東芝の複合機「Loops」に入れるとまっさらな紙に戻る。フリクションの機能を応用し、「消す」ことに着目して作られたトナーの技術は、これまでにない形のペーパーリユースが現実になりつつあることを教えてくれる。
続いて、火力・風力・原子力で発電機を回す方法、燃料電池の化学反応を利用する方法、半導体素子である太陽電池を使って発電する方法の3パターンについて、発電の仕組みと特徴を装置で学べる「ハツデントライ」。新型太陽電池の実験装置は、2022年から導入された新しい設備だ。
AR(拡張現実)を使った「ミライドア for SDGs」は、2m離れた場所からタッチパネルを操作できるサイネージシステムで、近未来的な操作感を楽しみながらSDGsと東芝の技術や取り組みを学ぶことができる。
やって学ぶ、見て学ぶ「サイエンスゾーン」
見えないものを可視化し、科学への好奇心を刺激するサイエンスゾーンからは、人気のコンテンツを2つ紹介したい。
1つは、社会科見学の小学生から大人まで爆笑が沸き起こる50万ボルトの静電気体験。最も身近な電気である静電気を通じたボールにふれることによって、人が静電気を帯びると…
続きはぜひ、実際に触って経験してほしい。
もう1つは、リニアモーターカーの仕組みが学べる超電導の実演。マイナス196℃の液体窒素で冷やして作られた超伝導体が磁石のレールの上で浮かぶ様子は、電気抵抗がゼロになると何が起こるのかをわかりやすく教えてくれる。
いつ来ても新鮮な驚きがある、人に寄り添う科学技術の宝庫
「最新の科学技術」という言葉は刺激的で、心が躍る。しかし、それを身近な生活に落とし込んで自分ごと化するのは難しい。
東芝未来科学館では、スケルトン仕様で内部の仕組みが見える自動改札機などを通じて、科学技術が生活のすぐそばにあることを実感できる。バーコードを読み取る必要がないRFID(無線電子タグ)方式の買い物体験ができる「ミライdeショッピング」など、「少し先」をリアルにイメージできるのもおもしろい。
延べ1,000万人以上が来館した同館は2024年1月31日に開館10周年を迎え、さまざまな企画やイベントを計画中だ。春休み期間中やゴールデンウィークには、開館10周年の特別企画展「あかりヒストリカ」(開催期間:2024年3月23日~6月22日)が開催されている。新たな技術の登場に合わせて生まれ変わり続ける同館は、常に新しい発見と感動に満ちている。